日常茶飯事(H28年5月)


エチュード「誉田哲也を書く」

~デビュー作「ダークサイド・エンジェル 紅鈴 妖の華」と文春文庫「妖の華」を読んで

  

誉田哲也を知ったのは、2011年秋にテレビドラマ「ジウ」を見てからである。黒木メイサと多部未華子のキャラクターに惹かれ、原作にも手を出した。このときは文庫本を“ジャケ買い”し、作者の名前は意識になかった。翌年に連続ドラマ「ストロベリーナイト」が始まり、赤いバッグを持ち歩いている竹内結子のキャラクターに魅せられ、今度は文庫本を待ちきれず、ハードカバーを買った。こうなると流石に作者のことも意識するようになり、それ以来、どっぷりハマっている。

 

「妖の華(あやかしのはな)」は阪急電車の豊中駅の本屋で買った。帰りの電車で読むためにいろいろ物色し、4,5冊並んでいた誉田の文庫の中で、読んでいないのはこれだけだった。

 

金沢に着く頃には読み終わった。巻末解説も読み、これが15年前のデビュー作であることを知った。もうひとつ満足できなかったのはデビュー作だったからだ、と思った。

その後、この文庫本がデビュー作を大幅に改稿したものと知り、アマゾンでデビュー本を見つけたので、読み比べてみた。

ジウから誉田にハマった者としては、物足りないとの印象に変わりはなかったが、栴檀は双葉より芳し、書き手の熱情がこぼれてくるとの思いを新たにした。

 

デビュー作「ダークサイド・エンジェル 紅鈴 妖の華」は第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞作で、学研から2003年1月に出版されている。一方、改稿した文春文庫「妖の華」は2010年11月出版である。この間に誉田はヒット作のジウ、姫川玲子、武士道などのシリーズをモノにし、人気作家になっている。人気作家がデビュー作をどのように書き直したのかも気になった。

 

主人公の紅鈴は絶世の美女、都会の風俗店で働き、暴力団から追われる身である。ならば田舎にでも逃げたらと思うのだが、盛り場の風俗嬢でなければならない理由が読み進むうちに解き明かされる。

 

物語は風俗店の男性店長の死体が発見されるところから動き始める。猛獣に喉を食いちぎられたとしか思えない、残酷な殺され方をしていた。この殺人事件と紅鈴とは直接的な関わりがないのだが、警察の捜査が進むうちに、紅鈴の存在が警察に知られ、紅鈴も事件に巻き込まれていくという展開である。

 

プロローグがカッコいい。夜の隅田川、まちの灯が揺れる暗い川面、そこにダークサイド・エンジェル紅鈴が立っている。“二度見”ならぬ“二度読み”をしてしまった。

 

さて、物足りなかった理由にも触れておこう。それは“誉田節”が不足していたからである。誉田節とは次の三点である。

こんな子がいるよね、いや、いるわけないよね、と楽しませてくれる、男目線によるヒロインのキャラ立ち。

格闘技や楽器演奏の達人かと思わせる、動きの描写の巧さ。

見たくないのに目が離せなくなってしまうグロテスクな描写。これについては、自分自身の価値観が壊されてしまいそうで困惑しているのであって、好きなわけではない。

デビュー作ではこの三点のどれもがやや少なかった。書きながら自覚しているのだが、これはファンの勝手な無いものねだりである。

 

改稿についても触れておこう。前述の誉田節に即して言うなら、一点目のキャラ立ちに磨きをかけた。ヒロインの描写をどんどん削り、スッキリさせ、効果をあげている。推敲の重要性を教えられた、とも思った。

 

その一方で、削られた文章からは、言葉がどんどん溢れてくる、作者の熱情や勢いが感じられ、なるほど、デビュー作なのだと思った。

 

 

(2016年5月26日書き込み)

 


寺町のブラジル屋で中米ニカラグアのコーヒーを買いました。ニカラグア・COE・ラスクンブレス。COEはカップ・オブ・エクセレンスの頭文字で、国際コンテストで受賞している最高級コーヒー豆という意味。ラスクンブレス(Las Cumbres)は農園の名前です。ニカラグアは農業国でコーヒーが主要な作物、面積は13万平方キロメーター(日本の3分の1)、人口は570万人(日本の約4.4%)。日本から13,000kmも離れたところから届いたコーヒー、そう考えると凄い!と思いませんか。この農園のことではありませんが、ブラジル屋から教わったところによると、コーヒー農園の中には家族経営で年間生産量が1トンにも満たないところもあるそうです。そして、そんな小さな農園のコーヒー豆であっても、品質が良ければ、ブラジル屋で扱うこともあるとのこと。これを私の身に引き当ててみると、加賀の紅茶(年間生産500kg)がロンドンで飲まれる、夢のような出来事に匹敵します。コーヒーの世界では、そのような小さな農園もカバーするバイヤーがいるという事実を羨ましく思います。(5月14日書き込み)

 

 


パン焼きの一週間 

食品庫の断捨離。期限切れの強力粉、ドライイースト、バーキングパウダーがあった。捨てるのが惜しいのでパンを焼くことにした。貧乏性である。

きちんと調べればいいのに、調べるよりも先に手が動いてしまう。だから、失敗を繰り返し、パンらしくなったのは3回目に焼いたとき。4回目は一次発酵で予想以上に膨らみ、5回目は予想よりも膨らまず、それでも自分なりに満足できる焼き上がりになり、ちょうど強力粉も使い果たした。

しかし、ベーキングパウダーとドライイーストがまだ残っている。食品庫の断捨離は続く。

今回の教訓らしきことは、失敗は学習の母。失敗しているからこそ、WEB検索にも真剣になる。ベーキングパウダーとドライイーストの違いも分かった。

動画でパンづくりの手順も見て、5回目にはパンづくりに必要な道具を、身の回りにあるものの中から探した。 

コネ板は佃煮の入った木箱のフタ、小さいけど一人前のパンづくりなら使える。スケッパーにプラスチックのカードで代用。小さいけど、これも一人前なら使える。このふたつの道具でパンづくり技術が飛躍的に高まったことは間違いない。(5月11日書き込み)


大桑貝殻橋んまかいがらばし)から見下ろした犀川。岩に丸い穴がいくつも見えます。つぼ状に穿たれたこの穴は甌穴(おうけつ)というのだそうです。川底のくぼみに入った小石が、川の流れでクルクル回転するうちに、くぼみを削り、つぼ状の穴が出来上がり。私のちょっと長めの散歩コースで見ることができる、国指定の天然記念物です。地層はやわらかい砂岩で、貝の化石もたくさん顔を出しています。(5月10日書き込み)

ご近所ネタをもうひとつ。近所のスタバに行きました。外が見えるカウンター席で本を読んでいたら、目の前のテラス席にじいさんふたりが座りました。至近距離、なのに、ガラス窓を挟んでいるので話し声は聞こえない。不思議な時間と空間。サイモンとガーファンクルの「オールド・フレンド」を思い出しました。(5月10日書き込み)


勝手に生えてくる庭のハルジオンを摘んで、ガラス瓶に挿しました。北米産だそうです。どうやって日本にやって来たのでしょう。庭に咲いた花を撮影し、WEBで名前を調べていると、外来種が多いことに気がつきます。園芸種だからでしょうか。ところでハルジオンは繁殖力が強くて要注意外来生物に指定されているそうです(ウィキペディア)。これからは根っこから抜くことにします。(H28年5月5日更新)


連休は断捨離、物置を片付けました。すると掛け軸が出てきました。せっかくなので、風を通すために、部屋にかけました。すると、あいそもない部屋(金沢弁です)に趣が出てきて、掛け軸を好む人の気持ちが分かったような気がしました。せっかくなので、掛け軸の文字の解読にも挑戦。ところが、全く読むことができず、自力解釈は諦め、WEB検索にかけました。簡単に分かりました。いい時代です。

 

これは「寒山詩」のひとつで、禅語として掛け軸によく用いられているようです。で、その原文はというと、WEBでは以下のように書かれています。五言絶句です。

 

吾心似秋月 碧潭清皎潔

無物堪比倫 教我如何説

 

写真掛け軸の1行目4文字目は「禾偏に亀の旧字」で「秋」のことです。禾は「カ」と読み、稲のこと。亀は稲につく虫のこと。本来の文字は下に「火」がついていて、その意味は稲につく虫を火(あるいは煙)で駆除することを現しています。「秋」の文字に「火」がついているのはそういう背景があります(字通を読み下しました)。

2行目1文字目は「舞」です。意味は「無」で良さそうです(詳しい説明は省きます)。

 

ここで発見したのですが、2行目後半の最初の文字は、どう見ても「今」であり、原文にある「教」ではありません。そうすると、同じく後半の「如何」の「何」ではないように思えてきました。不思議です。これは宿題にします。

 

書いた方は「建仁黙雷」とあります。これもWEBで調べました。臨済宗の建仁寺(京都)の第369世の竹田黙雷(1854~1930)。この書が7万円で売られていることも判明(本物だったらですけど)。

ところで、建仁寺といえば、臨済宗開祖の栄西禅師が開山したところ。そして、栄西は日本に初めてお茶を持ち込んだ高僧、「喫茶養生記」を著したことでも知られています。

といわけで、この掛け軸と私との間に「茶の縁」を見つけることができました。

 

さて、宿題の時間。私のインチキ解釈を書きます。

掛け軸の漢詩は默雷さんが寒山詩に独自の視点を加えたものであり、次のように書かれていると推測します。

 

吾心似秋月 碧潭清皎潔

無物堪比倫 今我如伝説

 

心は秋月のカタチ。深い淵の底にまで届く月明かり。

これにまさるものはない。私はそれを説く者である。 

 (平成28年5月3日書き込み)


新聞ネタです。能登杜氏自醸酒品評会の記事が掲載されました。表彰された杜氏さんのお名前を見ると、知らない人がたくさんいます。私自身がお酒の会を退会してから3年になり、最近のお酒事情に疎くなったこともありますが、能登杜氏が世代交代を果たしたと考える方が良いのでしょう。能登出身ではない方もずいぶん増えています。情報整理のために、表彰された杜氏さんの銘柄をメモしておきます。これはWEBなどで私が調べたものです。情報に誤りがありましたら、ご指摘をお願いたします。

家修さん(穴水町在住、白山市の「萬歳楽」)、田中豊人さん(京都府在住、京都市の「聚楽第」)、杉本和寛さん(能登町在住、滋賀県の「萩乃露」)、又木一彦さん(能登町在住、金沢市の「日榮」)、石田敬三さん(京都府在住、滋賀県の「松の司」)、木谷太津男さん(加賀市在住、加賀市の「常きげん」)、板谷博文さん(北海道在住、珠洲市の「宗玄」)、中井均さん(滋賀県在住、滋賀県の「波乃音」)、四家裕さん(能登町在住、滋賀県の「喜楽長」)、山内邦弘さん(京都府在住、兵庫県の「都美人」)、山岸昭治さん(珠洲市在住、金沢市の「加賀鶴」)、畑山浩さん(福井県在住、福井県の「黒龍」)、内山智広さん(三重県在住、三重県の「鈴鹿川」)、持地良雄さん(千葉県在住、千葉県の「梅一輪」)、半崎征勝さん(能登町在住、福井県の「わかさ富士」)、西原光志さん(静岡県在住、静岡県の「志太泉」)、畠中喜一郎(珠洲市在住、富山県の「満寿泉」)、下祢鉄郎さん(珠洲市在住、滋賀県の「鈴正宗」)。(平成28年5月1日書き込み)